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会計に必要な知識を整理 vol.9 PBR次第で変わる 自社株買いとBPSの関係

今週の更新~

この更新は、自分メモとして整理する。

いままで、自社株買いはどんな状況でもよいものという解釈だったのだが、

最近になって、自社株買いも状況次第で効果が変わってくるという事を学んだので実例を書きつつメモしておく。

 

PBR次第で変わる 自社株買いとBPSの関係

最近知った自社株買いの状況の差というのがどうゆうことかというと

自社株買いを行う会社のPBRによってBPSが減るか増えるかという事である。

結論から言ってしまうと、

・PBR < 1.0の会社の自社株買い ⇒ BPS上昇 

・PBR > 1.0の会社の自社株買い ⇒ BPS減少

今回は、実例を踏まえてこの現象に関する解説を行う。

 

自社株買いの効果

昔の更新でBS内における自己株式の扱いについて説明しているので引用。

seiyafield.hateblo.jp

 

この記事はざっくりと「自社株買いを行うと自己資本が減る効果がある。」

と言っているが、今回の更新ではより詳細なケースまで分解して説明を行う。

  

自社株買いを行うとどのような効果が起こるかというと

・(自社株買いの種類によるが)需給がしまり値崩れが起こりにくくなる。

・実質発行済み株式数(=発行済み株式数 - 自己株式数)が減少し、一株当たりの価値が上がる効果が期待される。(希少価値が上がる。)

 

主にこの2点かな。もっとある気がするけど...。

 

ちなみに、自己資本が減るとどのようなことが起こるかというと

自己資本比率が減少する。

自己資本比率が減少すると財務レバレッジが効くのでROEが上昇する。

主にこの2点かな。

 

比較会社の設定

会社A (PBR < 1.0会社の自社株買い)

時価総額: 500億円

自己資本: 1000億円

PBR = 時価総額 / 自己資本 = 0.50倍

 

今回発表した自社株買いの額: 100億円 (時価総額の20%, 自己資本の10%)

発行済み株式数 : 1億株

株価 = 時価総額 / 発行済み株式数 = 500円

今回の自社株買いで買い集められる株式数 = 100億円 / 500円 = 2000万株

BPS = 自己資本 / 発行済み株式数 = 1000円

 

会社B (PBR > 1.0会社の自社株買い)

時価総額: 2000億円

自己資本: 1000億円

PBR = 時価総額 / 自己資本 = 2.0倍

 

今回発表した自社株買いの額: 100億円 (時価総額の5%, 自己資本の5%)

発行済み株式数 : 1億株 

株価 = 時価総額 / 発行済み株式数 = 2000円

今回の自社株買いで買い集められる株式数 = 100億円 / 2000円 = 500万株

BPS = 自己資本 / 発行済み株式数 = 1000円

 

PBR < 1会社の自社株買い

会社Aの自社株買いの前後でBPSや実質発行済み株式数や自己資本がどうなるかを考える。

会社Aは、先の設定でもわかる通りPBR = 0.50である。

ここで、まず自社株買いで自己資本がどうなるかを考える。

 

自社株買い後自己資本 = 1000億円 - 100億円 = 900億円

今回の自社株買いで

実質発行済み株式数 = 発行済み株式数 - 自己株式数の変化は、

実質発行済み株式数 = 1億株 - 2000万株 = 8000万株

自社株買い後PBS = 自社株買い後自己資本 / 実質発行済み株式数 = 900億円 / 0.80億株 = 1125円となり

自社株買い前のBPS = 1000円よりも約1.13倍となっていることがわかる。

つまり、自社株買い後に13%もBPSが増えていることになる。

 

PBR > 1会社の自社株買い

会社Bの自社株買いの前後でBPSや実質発行済み株式数や自己資本がどうなるかを考える。

会社Bは、先の設定でもわかる通りPBR = 2.0である。

ここで、まず自社株買いで自己資本がどうなるかを考える。

 

自社株買い後自己資本 = 1000億円 - 100億円 = 900億円

今回の自社株買いで

実質発行済み株式数 = 発行済み株式数 - 自己株式数の変化は、

実質発行済み株式数 = 1億株 - 500万株 = 9500万株

自社株買い後PBS = 自社株買い後自己資本 / 実質発行済み株式数 = 900億円 / 0.95億株 = 947.368421円となり

自社株買い前のBPS = 1000円よりも約0.95倍となっていることがわかる。

つまり、自社株買い後にBPSが5%減っていることになる。

 

この現象の感覚的解釈

数式がよくわからなくなるような寝起きの時にこの記事を見た自分のために感覚的解釈を言っておく。

BPS自己資本 / 実質発行済み株式数で計算するという前提で、

PBRの違いから何が起こるかを解釈。

 

・まず、自社株買いはPBRがいくらであっても自己資本は自社株買いを行った分同じだけ減少する。

・その他条件が同じで、PBRが高ければ高いほど1株当たりの価値が高くなるので、自社株買いを同じ額で行うと買い集められる株数が減ってしまう。

BPSの分母に来ている実質発行済み株式数は、発行済み株式数 - 自己株式数で計算できるので、PBRが小さければ小さいほど多くの株式数を買えるということは、PBRが小さいほど実質発行済み株式数が減少する。

・分母が小さくなるので、BPSが上昇する。

という具合である。

 

さらに、この箇条書きをまとめて一言でいうと、

・PBRが小さい方が、自己資本の減少の効果以上に実質発行済み株式数を減少させる効果がある。

というまとめになる。

 

これは、バリュー株投資をするなら覚えておきたい事柄の一つなので記事にまとめた。