バリュー投資家の最強のカタリストであるTOB(Take Over Bit)
これらが起こりそうな企業を予想してみて、どのような企業が可能性が高いだろうかという事で「親子上場を行っている会社でかつ、PBR<1の企業」というものに注目してみた。
なぜ、このような企業のTOBの可能性が高いかと考えるかというと、
下の記事でもあげているように以前から東証が親子上場への懸念を持っており、東証1部の条件変更等が、いろいろと面倒くさいので「もうTOBかけて上場廃止にしよう」というマインドになっているのかもしれない。と考えたからである。
このようなことが原因であるのか定かではないが、最近日立グループをはじめとして東芝も親子上場の解消が目立ってきているからである。
という事で、割安な子会社を持っている親会社が、いっその事TOB仕掛ける可能性に掛けるのも悪くはないかと思われる。
あまりにも親子上場の会社が多すぎるので記事をシリーズ化して更新していく。
vol.1の更新は以下
- 親子上場で子会社PBR < 1の企業一覧
親子上場で子会社PBR < 1の企業一覧
注目すべきと考えるポイント
時価総額
子会社の方が大きいと買収が難しいのではないかと個人的に思う。
最近では、武田薬品工業がシャイアーを買収するなど自社と同じぐらいの時価総額の会社を買収する事例もあるが、基本的には小型の会社を買う方が気楽にできるだろう。
(そもそも武田の買収は、若干 苦しまぎれ感も否めないが...。)
内定先企業もここ数年で上場企業を2社買収しているが、その2社のうち大きい方の会社でも自社の時価総額の1/5の時価総額であったので、身の丈に合っているかどうかも重要であると考える。
しかし、あまりにも規模の違いがありすぎると逆にTOBを仕掛けるコストパフォーマンスが悪いので、自社の1/5~1/10ぐらいの規模がベストなのかなぁと思う。
子会社の収益力 > 親会社の収益力ではないか
これを確認するために、ROEとROAを並べてみてみる。(売上高営業利益率も見るべきかな?)
買収を行う親会社の気持ちになって考えてみると資金を投下するという事なので、どうせなら資金効率の良い方に投下したいはずである。
ということで、親会社の収益力よりも子会社の収益力がよいなら、自社の事業に投資を行うより、割安で収益力の高い事業を買収したいと考えるはずだと考えた。
親会社のキャッシュが余っているかどうか (親会社の財務力)
基本的には、銀行からの借り入れで買収をかけるのが普通ではあるが親会社にTOBを仕掛けることのできる余裕があるかどうかを確認しておく。
過去に親会社が子会社へのTOB実績があるか
過去にこのような事例があるとその時の状況を調べることが出来る。さらに、過去にも行っているのでこれからも行うのではないかという憶測が出来る。
セメダイン(4999)
基本情報
時価総額: 103億円
PBR: 0.96
ROE: 7.0-9.3%
ROA: 3.7-4.7%
親会社: カネカ(4118)
時価総額: 2131億円
PBR: 0.71
ROE: 5.7-6.7%
ROA: 2.9-3.4%
現金同等物: 399億円
コメント
子会社の業績も結構よく、現預金も多く、有利子負債が少ないので債券感覚で持つのも良いかもしれない。
兼松サステック(7961)
基本情報
時価総額: 67.0億円
PBR: 0.95
ROE: 8.6-9.8%
ROA: 5.7-7.0%
親会社: 兼松(8020)
時価総額: 981億円
PBR: 0.93
ROE: 13.7-13.8%
ROA: 3.0-3.1%
現金同等物: 889億円
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ROAベースでみると収益力は子会社の方が大きいので、そこに関しては希望が持てる。
自社株買いは特に行っておらず、兼松自体が増配傾向にあるので、あまり買収する気はないイメージ。
ただ、子会社の財務が自己資本比率70.9%、有利子負債0で結構よく配当利回りも高かったので、こちらも債券感覚で保有も悪くはないかも。
川崎近海汽船(9179)
基本情報
時価総額: 80.6億円
PBR: 0.33
ROE: 3.9-6.8%
ROA: 2.1-3.5%
親会社: 川崎汽船(9107)
時価総額: 974億円
PBR: 1.45
ROE: -69.4-9.8%
ROA: -11.7-1.2%
現金同等物: 1380億円
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親会社の業績が不安定すぎるw 子会社の方は割と安定してた。
親会社もやはり自社株買いする余裕はなさそうだろうと思いながら調べたらそんな余裕なかった。
川崎設備工業(1777)
基本情報
時価総額: 47億円
PBR: 0.62
ROE: 10.9-14.3%
ROA: 5.0-5.9%
親会社: 関電工(1942)
時価総額: 1825億円
PBR: 0.89
ROE: 8.5-9.1%
ROA: 4.3-4.8%
現金同等物: 630億円
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特に変わった動きはないが、子会社の収益力が高い。
業績簿ブレもそこまでではなく、有利子負債0なので長く持っても大丈夫そうではある。
長い目で見る用のウォッチリストへ。
キヤノン電子(7739)
基本情報
時価総額: 735億円
PBR: 0.9
ROE: 6.6-7.9%
ROA: 5.3-6.2%
親会社: キヤノン(7751)
時価総額: 3兆6411億円
PBR: 1.17
ROE: 5.9-8.9%
ROA: 3.3-5.2%
現金同等物: 5206億円
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あのキヤノンですね。
キヤノンマーケティングジャパンは、一応PBR1.02だったのでスルーした。
適時開示見た感じでは、特に怪しい動きはないが、急にやる可能性もアリ。
子会社の収益力も悪くなく、有利子負債 0で、高配当、利益率も悪くはなく、業績安定。
全然優良株として持てる水準だった。
一応ウォッチリストへ。
キユーソー流通システム(9369)
基本情報
時価総額: 223億円
PBR: 0.68
ROE: 6.6-6.7%
ROA: 2.8%
親会社: キユーピー(2809)
時価総額: 3712億円
PBR: 1.54
ROE: 7.9-8.1%
ROA: 4.3%
現金同等物: 479億円
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子会社は、ToSTNeT-3で、たまに自社株買い。
子会社もそこそこ収益力あって業績も安定傾向だが、いかんせんキユーピーの現金同等物が少ないかなぁ。と思った。
逆に言うと、急に理由なく現金同等物が増えたらワンチャンあるかも。
日本高周波鋼業(5476)
基本情報
時価総額: 58.8億円
PBR: 0.32
ROE: -1.5-1.2%
ROA: -0.6-0.5%
親会社: 神戸製鋼所(5406)
時価総額: 1971億円
PBR: 0.27
ROE: 1.4-4.8%
ROA: 0.4-1.5%
現金同等物: 1972億円
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鐵鋼はどうなんだろうなぁ。
そして、今のコベルコにその余裕があるのかどうかも不明なのでスルー。
エストラスト(3280)
基本情報
時価総額: 38.2億円
PBR: 0.83
ROE: 14.9-16.0%
ROA: 3.9-4.5%
親会社: 西部瓦斯(9536)
時価総額: 800億円
PBR: 1.22
ROE: 7.2-8.0%
ROA: 1.5-1.7%
現金同等物: 168億円
コメント
不動産セクターという事もあり割安。益回りも20%弱と高い。
子会社も自社株買いを行っており、割安株として持つこともできる一面も持っていると考えられる。
ウォッチリストへ。
堺商事(9967)
基本情報
時価総額: 29.5億円
PBR: 0.38
ROE: 4.4-5.5%
ROA: 1.8-2.2%
親会社: 堺化学工業(4078)
時価総額: 374億円
PBR: 0.54
ROE: 4.2-4.6%
ROA: 2.7-3.0%
現金同等物: 111億円
コメント
ROEベースでみると堺商事のほうが大きいみたい。(商社だから財務レバ大きいのだろう。)
子会社の方も増配傾向で株価あげる気満々な感じ。
TOBの予兆は特になさそう。
あと、子会社のCFがちょっと不安定ではあるので、長期で持つのは上級者でないと難しいイメージ。
結局ウォッチリストへ行った銘柄
セメダイン
川崎設備工業
エストラスコ
第2弾はこれで終わり。
このシリーズは会社が多いので、ポンポンとハイペースで更新していきたい。