配当還元政策DOEについて
今週の更新~
次に分析記事を出す企業がDOEを導入していて、最初その記事内でDOEについての説明を行ったのだが、このコンテンツ入れると記事が大きくなりすぎるので別記事に移植したくなったから。
ということで、久しぶりに基礎知識の整理。
DOEとは
DOEとは、Devidend on Equity ratioの略で、Equityというのは、自己資本の略でROE(Return on Equity)の分母と同じ。
日本語にすると、自己資本配当率という意味でどうゆう風に算出されるかというと、
DOE(自己資本配当率) = 年間配当総額 / 自己資本 × 100 (%)
で、計算できる。
配当還元政策として最も有名なものとして配当性向があるが、配当性向は、当期純利益をもとに配当額が決められるので、年毎に非常に振れ幅が大きい。
一方、DOEに関する特徴として、最大のメリットでもある事は、配当性向を決めている企業よりも、配当が安定するので配当予想が配当性向を導入している企業よりも予想確度が上がることである。
なぜ、DOEの方が配当が安定するのかという事を解説すると
DOEは、赤字さえ出ていなければ減益でも、理論上増配することが出来るからである。
これを直感的に理解するのはややこしいので数式を交えて説明すると
まず、配当支払い後の今期の自己資本がどのように計算されるかを確認すると
・今期配当金 = 配当支払い前今期自己資本 × DOE
そして、
・配当支払い後今期自己資本 = 前期自己資本 × 今期ROE × (1 - 今期配当性向)
次に、DOEの式を利用して来期の配当予想の計算式を考えると、
・来期配当予想 = 来期自己資本 × DOE
さらに、来期の配当支払い前の自己資本の計算式は
・来期自己資本 = 今期自己資本 × (1 + 予想ROE)
よってこれら3つの式から
来期配当予想 = 来期自己資本 × DOE
= 今期自己資本 × (1 + 予想純利益 / 今期自己資本) × DOE
= (今期自己資本 + 予想純利益) × DOE
といったようになり、さらに(来期予想配当 - 今期配当)が + になれば増配となる。
来期予想配当 - 今期配当
= (配当支払い後今期自己資本 + 予想純利益) × DOE - 配当支払い前今期自己資本 × DOE
= DOE × (配当支払い後今期自己資本 + 予想純利益 - 配当支払い前今期自己資本)
= DOE × (予想純利益 + 配当支払い後今期自己資本 - 配当支払い前今期自己資本)
= DOE × (予想純利益 - 今期配当総額)
というように式変形が行える。
つまり、DOEを導入している企業は、予想純利益 > 今期配当総額なら、来期の純利益が減益だったとしても増配を行うことが出来る。
例えば、予想純利益が1に対して、今期配当が0.5といったように、配当性向が50%であれば、予想純利益が -20%の減益(たまにこうゆう決算が出てきたりする。)だとしても予想純益は、1に対して0.8の減益となるが、0.8 > 0.5より減益にもかかわらず、増配を行うことができる。
*しかし、じり貧になる可能性も否めないので、減益・増配は2,3年ぐらいで脱してほしい。
一方、配当性向を導入している企業は、
来期予想配当 - 今期配当
= 予想純利益 × 配当性向 - 今期純利益 × 配当性向
= 配当性向 × (予想純利益 - 今期純利益)
と式変形され、予想純利益 > 今期純利益の条件とは、つまり増益という事なので増配を行うには、配当性向を上げるか、増益を達成するかしかなくなるのである。
これは、かなり難易度が高いように感じる。
一番のデメリットとしては、このDOE政策をやめるというニュースがもし流れた時にそのニュース自体が一番のデメリットであると考えられる。